「月が綺麗ですね」隣の男性にそう声をかけられた・・実は愛の告白だったら!?

「I LOVE YOU」
この言葉を日本語で訳してください。
そう言われたら、あなたはなんと訳しますか?
「私はあなたを愛しています」
「愛しているよ」
「大好きーー!」
この文章を読んでいるあなたが日本人だったり、
日本に住んでいる方であれば、大体は上のような答えが帰ってくるでしょう。
しかし、これは今の日本でのお話。
今からたった100年ちょっと前、
「月が綺麗ですね」
「I LOVE YOU」をこんな風に訳したと言われるている人がいます。
一時期複数のドラマでも紹介されたりして、有名なエピソードなので
ご存知の方もいるかもしれません。
日本人は「我君ヲ愛ス」なんて口にしなかった!?
日本の国費留学生第一号と英語を学んできたのは「夏目漱石」
彼が日本に戻ってきて英語の教師として帝国大学で教鞭をとっていた時。
学生がI love you を「我君ヲ愛ス」と訳した所、
「日本人がそんな台詞を口にするか。
『月が綺麗ですね』とでも訳しておきなさい」
と教えた。
そんなエピソードです。
実際にそのような事を実際に行ったという文献や資料が残っている訳ではないので、これは後の世の人の創作ではないか?
とも言われています。
ただ、
「すなわち月といえば月の観念も
元より必要なるべきも、先ず第一に
欠くべからざるは月の光景なり、
この画姿さえあらば f を生ずること
容易なり。」
漱石全集より
fとは簡単にいうと「情緒」のこと。
「月について語る時、何か言葉以上のものを伝えられる」
漱石が感じていたことは確かだったのかもしれません。
月は人から美しい言葉を生み出す力がある
月は人間の日々の営みを、夜も昼も見つめ続け、
人もまた月の姿を待ち望み、見上げ続けてきた。
日本ではそれが「月の呼び名」にも表れています。
満月(15日目の月)は、日没とともに東の空に昇り、
明け方には西の空に沈みます。
これ以降、月の出は約50分ずつ遅くなってくるのはご存知ですか?
それがなぜなのかまではわからなかった古来の日本人は
16日目は、月が出てくるのをいざよう(ためらっている)ようだと「十六夜」(いざよい)
次の日は、さらに月の出が遅いので、まだ?と立って待つ「立待月」。
その翌日は、立っていては待ちくたびれて座って「居待月」。
さらに1日経過すると、もう床に入って待つ「寝待月」。
満月から5日後の20日めは、夜更けの月を待ち続けた気持ちが現れている「更待月」
夜の明かりを心待ちに、家族と語らいながら月の出を待っている。
そんな光景が現代でも思い浮かぶような月の呼び名です。
月が地球の周りを回っている。
そんな事を知っている現代人には当たり前に思える
月の光。
しかしそんな月の光がいつ出るか、いつ出るか。
そんな思いで待ち続けた人もいるんです。
月にまつわる伝説や言い伝えなどがたくさんあるのも頷けますね。
月の光の元、あなたは誰に話しかけたいですか?
あなたも、今素直な気持ちを伝えたい相手がいたとしたら
一緒に月を眺めて
「月が綺麗だね」
そんな風に話しかけてみてはいかがですか?
見つめあってはなかなか言いづらい日本人の素直な気持ちを
お互い伝え合えるチャンスかもしれません。