もうひとつの月の宿 インド占星術のナクシャトラが伝える月のメッセージ:ローヒニ
こんにちは。月よみ師でアーユルヴェーダヒーリングコンサルタント Sahra(サーラ)です。
月よみWEBでは月よみとインド占星術を組み合わせた情報を発信しています。
前回は、ハロウィーンの日の満月のタイミングで
バラニ(牡羊座 13度20分~26度40分)
についてお話しました。
今回は、本日からちょうど一週間後
11月30日の満月の位置にあたるナクシャトラ、
ローヒニについてのお話です。
ナクシャトラについては、こちらでも説明しています。
興味のある方は参考になさってくださいね。
https://tsukiyomi-magazine.com/2020/01/18/post-14139/
さて、ローヒニについてお話する前にちょっと一呼吸。
ナクシャトラにまつわる神話からはじめますね。
月が一番愛した妻
月は約1ヶ月かけて、27のナクシャトラ(インド占星術の月の宿)を順に通過します。
これがなぜそうなったのかというお話。
インド神話には、ダクシャという有名な聖仙が登場します。
ダクシャには大勢の娘がいて、それぞれ神々や聖仙たちに嫁ぎ、
そのうちの27人が月の神ソーマに嫁ぎました。
娘たちを嫁がせるにあたり、
ダクシャはソーマに娘たちを平等に扱うことを約束させたので、
その言葉を守り、ソーマは27人の妻を毎日順番に訪れるようになりました。
これが27のナクシャトラを月が1ヶ月かけて順番に巡ることになった起源です。
ところで、月は満ち欠けしますよね?
これにはナクシャトラのうちのひとつ、ローヒニが関係した続きのお話があるのです。
はじめのうちソーマは27人の妻のところを平等に訪れていました。
ところがやがて、美しく才能あるローヒニを特に愛するようになり、
彼女のところにばかり長く滞在するようになってしまったのです。
これに嫉妬した残り26人の娘たちは父のダクシャに訴え、
ダクシャは最初の約束を守らなかったソーマに死の呪いをかけました。
ところが、ソーマがやせ細り始めると26人の娘たちは大慌て。
ソーマがいなくなってしまうなんて耐えられない!ということで、
父に呪いを解くように懇願しますが、一度かけた呪いを解くことができません。
困ったダクシャは考えました。呪いを解くことはできないけれど、変更することはできるかも。
そこで考え出された妙案が、ソーマは一旦やせ細って死ぬけれど、再び生き返るという呪いに変更すること。
という訳で、ひと月の半分、ソーマは死に向かい、残りの半分でまた生き返るということを繰り返すようになったのです。
この月の満ち欠けのお話にはいろんなバージョンがありますが、
どの場合も、ことの発端はソーマがローヒニだけを優遇したことにあるというのは変わりません。
27人も奥さんがいると大変ですね。
では、月にそれほどまで愛されたローヒニというナクシャトラについてお伝えしますね。
ナクシャトラ:ローヒニ Rohini
ローヒニ Rohini
位置:牡牛座 10度00分~23度20分
支配神:創造神ブラフマー
象徴:牛のひく荷車あるいは馬車
【支配神:ブラフマー】
支配神ブラフマーをご存じでしょうか?
ヒンズー教には、トリムルティという3人の最高神がいます。
ヴィシュヌ神:世界の維持を司る神
シヴァ神:世界の破壊と再生を司る神
ブラフマー神:世界の創造を司る神
この創造の神ブラフマーが支配神なので、
ローヒニというナクシャトラには成長や発展、繁栄などの性質が備わっています。
物質世界の創造という意味では、産みだす、育てるということから、農耕とも関係があり、種まきや苗の植え付けなど植物の生長にも関わる宿とされています。
人の場合も同じこと。
成長には、上昇するとか登るといったことも含まれるので、昇進や成功などとも結びつけられています。
月がこの位置にあるときには、どんな分野でも何かを始めることに向くとされています。
・植物や農作物を植える、種まきする
・お商売を始める
・何かの取引を始める
・個人的なことであれば何か新しい活動や習慣を始める
などがおススメです。
【象徴:荷車あるいは馬車】
荷車というと、私の場合、質素な木の荷車や重そうな荷物を大変そうに(?)牛が引っ張る姿を想像してしまいますが、ここでいう荷車のとらえ方は逆で、豊穣を意味します。
刈り取った稲をたくさん積んでいる荷車ということからの豊穣ですね。
荷車ももちろん移動手段に使われるのですが、馬車となるとより快適な乗り物のイメージになりますね。
荷車でも馬車でも、自分で動かず、座っているだけで誰かに運んでもらうということは同じ。
そこから、快適さや快楽を表すということになります。
どちらも物資的、現世的な豊かさの追求を表していることになります。
美味しい物を食べるとか、着心地のよい服を着るとか、心地よい布団で眠るなど、
快適さや快楽を求める性質もローヒニの特徴です。
ですので、ローヒニに月があるときは、こうした快楽への欲求が表面化しがちということになります。
ご機嫌だけど注意も必要な今回の満月
インド占星術では、月は牡牛座に位置するとき一番よい状態にあるとされています。
ローヒニは、丁度牡牛座の10度00分~23度20分の位置にあたります。
月が一番愛したのがローヒニですから、この位置に月があるとき一番よい状態になるのは当然といえば当然ですね。
ですので、ローヒニの満月は本来とてもご機嫌な満月です。
先にも書きましたが、ブラフミー神の創造パワーが降り注ぐタイミングですので、
何か新しいことを始めるのもよいタイミングなのです。
ただし、今回の満月には少し注意が必要です。なぜなら月食が起こるから。
月食は月が欠ける現象ですので、本来インド占星術では、心が欠けるとしてよくない印ととらえられています。
そのため、創造パワーをもつローヒニでありながら、心に影がさす月食のために、現実的なことに関して重要な決断をするなどにはあまりは向かないということになります。
今回の満月は外へ向かう行動より内へ向かうほうがよいようです。
つまり、ローヒニのもつ心地よさの追求を優先させるほうがよいということ。
ゆっくり過ごす、自分を見つめる時間として使う、いつもないがしろにしがちの自分の心の声に耳を傾けてみるなどです。
心地よい音楽、大好きな香り、おいしい食事などに囲まれて過ごすと心と体が満たされます。
12月の後半には一大天体ショー、時代の切り替わりが待っています。
このタイミングでゆっくりと自分を振り返り、心と体をフルチャージしておかれてはいかがでしょう?
来週の満月の過ごし方。
今から計画するなら、ゆっくり過ごす、心地よい環境で過ごすための計画がおススメです。