もうひとつの月の宿 インド占星術のナクシャトラが伝える月のメッセージ:アヌラーダの月
こんにちは。月よみ師でアーユルヴェーダヒーリングコンサルタント、Sahra(サーラ)です。
月よみWEBでは月よみとインド占星術を組み合わせた情報を発信しています。
先月は、4月12日新月のナクシャトラ
レーヴァティ( 魚座16度40分~魚座30度00分)
についてお話しました。
今月は、明日、5月26日の満月のナクシャトラ、
アヌラーダについてのお話です。
アヌラーダ Anurada
蠍座03度20分~蠍座16度40分
支配神:ミトラ
象徴:蓮の花、葉で飾られた凱旋門
ナクシャトラについては、こちらでも説明しています。
参考になさってくださいね。
https://tsukiyomi-magazine.com/2020/01/18/post-14139/
献身と友情
アヌラーダの支配神は、アディティヤ神群のひとりミトラ神。
太陽と関係する神であり、特に夜明けの神とされています。
夜明けは、夜と昼との結び目。この時間を司るということは、一人で過ごす夜の眠りの時間から、様々な人との出会いが待つ昼の時間へとつなぐということ。
夜と昼とをつなぐことは、一人で過ごす時間と多くの人と過ごす時間をつなぐことにもなります。
そして、夜と昼をつなぐことは、闇と光を引き合わせることを意味します。
ミトラ神は闇と表現される無知の世界と光輝く叡智の世界をつなぐ神であり、私たちに覚醒、気づきをもたらす神ということになります。
ミトラ神のもうひとつの解釈は、ミトラという言葉の表記から来ています。
ミトラはMitraという表記になります。mi-が意味する「合わせること」と-traが意味する「道具」の組み合わせから派生して、ミトラは「友」を意味する言葉になっています。なぜなら、人と人が出会うことで「友」が生まれるからです。
ミトラとい言葉から解釈されるミトラ神は愛、友情を司る神であり、誠実さや献身を司る神、そして、人と人をつなぐことから契約を見守る神でもあります。
愛、友情はどれも人と人との結びつきの中で生まれるもの。そして、その関係には誠実さや献身が求められます。
ミトラ神が示す愛や友情には、お互いを思いやる誠実な気持ちをもつことと同時に、時に自分を投げ出し相手に尽くす献身的な行為も含まれています。
ただ、献身的な行為が一方的になると、それはときに、過度の依存になったり、どちらかだけ、あるいは誰かだけが犠牲になったりします。ミトラ神が示す愛や友情は、お互いに誠実な気持ちをもち、お互いに必要なときに助け合うもの。
ただ、気持ちだけでそれが成り立たない場合、そこに、契約という考え方が生まれてきます。ミトラ神が契約を見守る神という側面をもつのも、こうした背景があります。
契約には、ビジネスの契約だけでなく、結婚の契約も含まれるそうです。そして、契約を見守る神ですから、契約を破ったものには罰を与えることもあるとか。契約を破ったものには天罰が下るのかも。
愛や友情と契約とでは、一見つながりがないように見えても、よくよく考えてみると、愛も友情も魂の契約と言えるのではないかと思います。契約内容は誠実であること。
ミトラ神が司るアヌラーダの満月には、人と人とが誠実さをもってつながることに光があたり、強調されます。
それは決して1対1のつながりだけでなく、グループや共同体など同じ志をもって集まる人たち、何かを成し遂げるという目標のために集う人たち、自分の居場所を探すなかで心地よさを求めて集まった人たちのつながりなど、あらゆるつながりが対象です。
この満月には、
・これまでの自分と人とのつながりに思いを巡らせてみる
・自分が今どんなつながりをもっているのかあぶりだしてみる
・この先、どんなつながりを望んでいるのか心に問いかけてみる
そんな時間をとってみてはいかがでしょう?
蓮の花と凱旋門
蓮の花が象徴するのは、純粋さです。
庭園などで蓮の花が咲いているのをみたことありますか?
蓮というと、つい、モネの睡蓮を思い浮かべる方がいらっしゃるかもしれませんが、実は、睡蓮と蓮は別物。ご存知でしたか? それは知っているという方でも、案外、区別の仕方はご存じない場合もあるのでは? と思います。
蓮は花も葉も睡蓮よりサイズが大きくて、睡蓮が水面近くに花を咲かせるの対して、蓮は水面からかなり上まで茎をのばして花が開くそうです。その他にも色々と違いはあるそうです。
そうした違いのひとつが、蓮は沼地でも泥沼といったような、あまりきれいではない環境にも生息するというもの。
このことが、仏教で蓮の花がよく使われる理由のひとつとも言われています。泥の中にあっても美しい花を咲かせる蓮が、欲望が満ち溢れる俗世の中でも悟りを開くことができるということを象徴しているというのです。他にもきっと色々と理由はあるのでしょうが、沼地に咲く蓮の花の姿に、俗世に咲く純粋性の姿をみるという考え方は素敵だなと思います。
沼地に咲く蓮がシンボルですので、アヌラーダはどんな困難な状況にあっても純粋性を輝かせることができるということを示している宿です。
そして、このことは、もうひとつのシンボル、凱旋門にも現れています。凱旋門は戦いに勝利した将軍たちの凱旋を祝うために立てらた建造物。勝利の門であり、成功の象徴です。
アヌラーダには、蓮の花が示す、どんな困難な状況でも花を咲かせることができるというパワーと、凱旋門が示す、努力は報われ必ず成功へと至るのだという確信パワーが備わっています。
泥沼に足をとられて、前にも進めず、後ろにも引けず、ただもがいている。
やりたいことが上手くいかなくて投げ出したくなっている。
そもそも何をやりたかったのか見失って途方にくれている。
そんな方には、この満月に、蓮の花や凱旋門に象徴される、「必ず花開く」というメッセージにフォーカスして、心の手帳にしっかり記して下さいね。
スーパームーンと皆既月食
今回の満月は、スーパームーンの皆既月食にあたります。
インド占星術では、月と太陽の軌道の交差点にあたる、ラーフとケートゥを惑星として扱います。このラーフとケートゥが日食や月食を引き起こします。ここには、ラーフ・ケートゥと月と太陽を巡る神話があります。
むかしむかし、神々と悪魔とが不死の霊薬アムリタを巡って争い、神々が勝利しました。
神々は手に入れたアムリタを順番に飲んだのですが、その中に、神に化けて紛れ込んだラーフという悪魔がいました。ラーフが一口飲んだとき、月と太陽がそのことに気づき、ヴィシュヌ神に知らせたので、ヴィシュヌ神は手にした武器でラーフの首をはねてしまいました。
ラーフはすでにアムリタを一口飲んでいたので不死となり、はねられた首はラーフとして、首から下はケートゥとなって天に上りました。
ラーフとケートゥは告げ口した月と太陽を恨み、月と太陽を飲み込んでは日食月食を起こすようになったのです。
ということで、今回の満月での月食は、太陽の側にはラーフが、月の側にはケートゥがいるために起こります。
普段、満月は人の心を高揚させるパワーがありますが、今回は、月食が起こるため、内面へと向かう力が強く働きます。月食は霊的修行によいタイミングとされています。ですので、月食の前後には、瞑想やヨガなど心の内側に向かうような行為を行うとよいとされています。
マントラを唱えることも勧められていますが、マントラに親しんでいる人は少ないと思いますので、代わりに、シンギングボウルを聞いたり、ご自身の心が落ち着くようなヒーリングミュージックを流して過ごすのもよいのではと思います。
それから、今回の満月は金星の影響もあるので、感覚を満足させるようなこともお勧めです。例えば、心地よい香りを焚くとか、ボディオイルなどを塗りながら、ご自身の肌にしっかり触れてみるのもお勧めです。
心を鎮める音楽や香りに包まれて、ご自身の心と対話する時間をとってみてくださいね。
※アーユルヴェーダやインド占星術についてブログを書いています。ご興味があれば、覗いて頂ければ嬉しいです。
https://linktr.ee/akatsukiayv
※参考文献
こちらの記事は以下の書籍などを参考にしています。
書籍:
LIGHT ON LIFE by Hart de Fouw & Robert Svoboda
THE NAKSHATRAS by Komilla Sutton
27 STARS, 27 GODS by Vic DiCara (Vraja Kishor das)