もうひとつの月の宿 インド占星術のナクシャトラが伝える月のメッセージ:ウッタラ・バードラパダ
こんにちは。月よみ師でアーユルヴェーダヒーリングコンサルタント Sahra(サーラ)です。
月よみWEBでは月よみとインド占星術を組み合わせた情報を発信しています。
前回は、8月8日新月のナクシャトラ
アーシュレーシャについてお話しました。
前回の記事はこちらからどうぞ。
今回は、先週9月21日に迎えた満月のナクシャトラ
ウッタラ・バードラパダについてのお話です。
ウッタラ・バードラパダ Uttra Bhadrapada
魚座3度20分~魚座16度40分
支配神:深海の龍 アヒルブドニャ
象徴:葬儀用ベッドの後ろ脚、水の中の蛇、双子
ナクシャトラについては、こちらでも説明しています。
参考になさってくださいね。
深海の龍
支配神のアヒルブドニャは深海に住む龍。深海は水と暗闇の世界です。
そこに住むアヒルブドニャは、私たちの深層意識や深い智慧を表しているとされています。
アヒルブドニャが深く暗い海底から浮上し、水面に現れる姿は、私たちの精神的な覚醒や、知の目覚めを意味します。
深層意識は私たちの奥深くに眠る意識です。普段、特別に意識したり、気づいたりすることのない存在ですが、「無い」わけではない。
智慧のない状態を無知と表現しますが、実際には、智慧は「無い」のではなく、その存在にわたしたちが気づいていないだけです。
暗い闇の中にある深層意識も智慧も、時が来れば姿を現す。それが、水龍としてのアヒルブドニャが表現していることです。
また、アヒルブドニャはクンダリーニに例えられています。
ヨガをされている方は、ハタ・ヨガやクンダリーニ・ヨガをご存じだと思います。どちらも本来もっている根本的な目的に、生命エネルギーのクンダリーニを覚醒させるということがあります。
クンダリーニは宇宙の根源的なエネルギーが私たちの体内にあるときの名称で、私たちの生命エネルギーです。普段は尾てい骨あたりに位置する第一チャクラで、とぐろを巻く蛇の姿で眠っていますが、覚醒し、頭頂にある第七チャクラに向かって上昇することで、精神力や肉体的な能力を高めてくれます。
この第一チャクラから第七チャクラに向かって上るクンダリーニの姿が、海底から上昇するアヒルブドニャと重ねられているのです。
ウッタラ・バードラパダに月が入るときには、私たち誰もが内側にもつ生命エネルギーの存在や私たちの奥深くに眠る深層意識の存在に目を向けるよい機会です。
それぞれが自分の内なる力と向き合うことが、精神的な成長へとつながり、ひとりひとりに与えられた人生をよりよく歩んでいくことにつながります。
ベッドの後ろ脚、変容の時
シンボルには、水中の蛇の他に、葬儀用ベッドの後ろ脚や双子があります。
葬儀用ベッドは、ウッタラ・バードラパダのひとつ前のナクシャトラのプールヴァ・バードラパダと対になっています。プールヴァは葬儀用ベッドの前脚、ウッタラが後脚です。
ウッタラ・バードラパダは27あるナクシャトラの中で26番目にあたります。1番目のナクシャトラから始まって、27番目で一周り。この次には、また新しい周回が始まります。
27ナクシャトラを一つの人生の流れで例えると、ウッタラ・バードラパダは人生の終わりの一歩手前。そこに登場するのが葬儀用のベッド。プールヴァとウッタラのふたつのバードラパダで表現される葬儀用ベッドは、ひとつのことの終わりを意味するものなのです。
インド哲学には、人は物質的世界から精神的世界へ向かうことが人生の目的という考え方があります。
精神世界へと一歩進むには、物質的なものを、ここで一旦手放すことが必要になります。その手放すべき物質的な存在の最後のものが葬儀用ベッドとして表現されています。
ウッタラ・バードラパダの次にくる27番目の最後のナクシャトラは、私たちを精神的変容へと導くナクシャトラです。
物質的なことへの執着を手放すことで、精神的世界へと向かうことができます。ウッタラ・バードラパダは、そんなことを私たちに伝えるナクシャトラです。
今あるものを見直す
ウッタラ・バードラパダはどちらかというと受け身のナクシャトラになります。
それは、支配星が土星であること、ウッタラ・バードラパダのいる場所が魚座で魚座の支配星が木星であること、そして、このナクシャトラがタマスという怠惰に陥りやすい性質をもっていることなどがその理由になります。
土星も木星もゆっくり運行する惑星です。土星は保守的な力をもつ惑星ですし、木星は僧侶のような性質をもつとも言われていて、幸運をもたらす惑星ではありますが、幸運はときに人を怠惰にもします。
受け身と表現しましたが、受け身ということは、外部からの刺激があると動くということ。つまり、ひとりだとなかなか動かないけれど、誰かと、あるいは何かと出会うことで、活動のエネルギーが生まれるということです。
ウッタラ・バードラパダは新しいことを始めるのに適したタイミングではありません。終わりと始まりのはざまで、変容に向けての準備のときです。
新しい関係や新しい出来事との出会いを期待しつつ、この時期は、今あるものを見直しておくほうがよいのです。
何事もすべてサイクルがあります。めぐりめぐってくる。終わりがあり、始まりがある。そこにあるのはらせん状に進む成長の姿です。
そうした成長を望むとき、何もかもを抱えたままでは次の段階へ進めません。いらなくなった何かを手放すことで、これから必要な新しい何かを手にすることができるのです。
まだ当分は何かしらの行動規制が続く社会の様相です。思うように行動できない時期だからこそ、今ある人との関係性を見直したり、今までは必要だったけれども、これからは必要ないなと思うものを整理する、そして、新しい世界をちょっとのぞいてみる、などして過ごしてみるのはいかがでしょう?
ゆっくりと自分と向き合い、整える時間を経ることで、次に、新しい出会いや新しい出来事に遭遇したとき、それを新しい出発点として、これから先の人生に生かすことができるのだと思うのです。
※参考文献
こちらの記事は以下の書籍を参考にしています。
書籍:
LIGHT ON LIFE by Hart de Fouw & Robert Svoboda
THE NAKSHATRAS by Komilla Sutton
27 STARS, 27 GODS by Vic DiCara (Vraja Kishor das)
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