もうひとつの月の宿 インド占星術のナクシャトラが伝える月のメッセージ:ジェーシュタ
こんにちは。月よみ師®でアーユルヴェーダヒーリングコンサルタント Sahra(サーラ)です。
月よみWEBマガジンでは月よみとインド占星術を組み合わせた情報を発信しています。
前回は、
10月20日満月のナクシャトラ、アシュヴィニ( 牡羊座00度00分~牡羊座13度20分)についてお話しました。
前回の記事はこちらから。
今回は、12月4日の新月、ジェーシュタ(蠍座16度40分~射手座00度00分)についてのお話です。
ナクシャトラについては、こちらでも説明しています。
参考になさってくださいね。
今回ご紹介のナクシャトラ
ジェーシュタ Jyeshtha
さそり座16度40分~射手座00度00分
支配神:インドラ神
象徴:イヤリング、傘、丸い形のお守り
五感を研ぎ澄ます

さそり座の心臓のあたりにアンタレスという赤く輝く星があります。ここがジェーシュタというナクシャトラの中心になります。
インドラ神は雷の神であり、神々の中の神。インドラ神のインドラはインドリヤという言葉とつながっています。インドリヤとは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5つの感覚器官のこと。インドラ神はこの五感をコントロールする力をもつとされています。
五感は私たちと外の世界をつなぐ重要な窓口。五感のコントロールは、私たちの肉体だけでなく、精神面にも影響を与えます。
五感を通して外から入ってくる情報を正しく処理することは、心の内に抱えている闇を取り除いて光をもたらし、心の栄養となることを吸収すること。肉体の健康だけでなく、心の健康をも保つことにつながります。
ジェーシュタに月があるときは、この五感に意識を向けてみてください。
たくさんの情報が飛び交い、時間の流れが早い今の社会では、普段、五感に無頓着なことが多いと思います。
何気なく見ていること、聴いていること、嗅いでいること、味わっていること、触れていることに注意を向けて、入ってくる情報に対して、自分自身が何を感じるか、どう感じるかを観察してみてください。きっと新しい発見や気づきがあるはずです。
思いやりと感謝

ジェーシュタのシンボルには、イヤリング、傘、丸いお守りなどがあります。
かつて、イヤリングは王様など力あるものが身に着けることで、その権威を表すとされていました。
はるか昔、イヤリングを身に着けることができたのは、自分自身を厳しく律し、俗世的な性質を克服し、崇高な力を得たものたちだけでした。特に、過去や未来の智慧に長け、精霊たちと会話することができ、世界を正しく治めることができる王や同等の権威あるものだけが身に着けることを許されていたのです。
そして、傘。傘は、守るものであるのと同時に権威も表しています。
こちらも古代において、傘を持てるのは権威ある人達だけでした。インドをはじめとするアジアの国々の古い時代を描いた絵などで、位の高い人が道を歩くときに、従者が立派な傘をさしているような構図をみたことありませんか?
今では傘は雨に濡れるのを避けるためのものですが、はるか昔の時代では、位の高い、権威ある人たちだけがさして歩くことのできる特別なもの。まさに権威の象徴でした。
傘は権威も表していますが、同時に、傘を持てる力のあるものは、保護すべき人達にいつでも傘を差しだし、保護を与える役目があることも表しています。
実は、ジェーシュタという言葉には、「最年長」という意味があります。
インドでは、年長者であることは保護者であること、そして、最も優れた者であり、最も尊敬されるべき者とされています。
権力をもつものは、尊敬される存在であるべきです。そして、尊敬される存在であり続けるためには、常に身を律し、たゆまぬ努力が必要です。また同時に、そうした努力ができるからこそ、尊敬される存在となるのです。
上に立とうとするものは、下のものを守る義務があることを忘れないこと。守られる立場にあるものは、守ってくれているものへの感謝を忘れないこと。
ジェーシュタは、このどちらのことも私たちに思い出させてくれます。
変化へ向けて

夜の長さが最長を迎える冬至が近づき、暗闇の深さが増しています。
この時期は、静養、回復のための時間。セルフケアやヒーリングに費やす時間です。暗闇の深さや静寂には、自分と向き合い、よりよい未来への夢を描くことや、内なる力、内なる智慧を再構築するエネルギーがあります。
ジェーシュタというナクシャトラはさそり座の心臓のあたりから最後のあたりまでをカバーしています。ここは物質世界と精神世界の境界線。
精神的な成長を望む場合には、物質的なものを手放す必要があります。現実世界で生きている私たちは、持っているものすべてを捨て去るわけにはいきませんが、本当に必要なものだけを選ぶことは大切です。
来年に向けて、変わりたい、変えたいという思いを持っているようであれば、自分にとって本当に必要なものはなにかを問いかけてみてください。
変わりたいのに変われない、思うような行動につながらない原因は、精神的なことだけではないものです。
朝起きたとき目にするもの、机に座ったとき目にするもの。生活のここかしこで目にする物は五感を通して私たちに大きな影響を与えています。特に、朝起きたとき、一番に目にするものは縁起のいいものであるべきとアーユルヴェーダの聖典に書かれています。
ものは心に影響します。身の回りには、あなたにとって必要なものだけ、よいエネルギーを与えてくれるものだけがあるのが理想です。
物質世界と精神世界のはざまにあるジェーシュタで迎える新月。日食も重なり、反転の力が強く働きます。
今年最後の新月のエネルギーを活用して、不要な物を手放す、心の古い殻を脱ぎ捨てるなどして、新しい年へ向けての準備をはじめましょう。
※参考文献
こちらの記事は以下の書籍などを参考にしています。
書籍:
LIGHT ON LIFE by Hart de Fouw & Robert Svoboda
THE NAKSHATRAS by Komilla Sutton
27 STARS, 27 GODS by Vic DiCara (Vraja Kishor das)
※アーユルヴェーダやインド占星術についてブログを書いています。ご興味があれば、覗いて頂ければ嬉しいです。