もうひとつの月の宿ナクシャトラのお話
こんにちは。月よみ師®でアーユルヴェーダヒーリングコンサルタント Sahra(サーラ)です。
月よみWEBマガジンでは、毎月一度、新月あるいは満月に合わせて、インド占星術特有のナクシャトラについてお伝えしています。
2022年が始まって、あっという間に3月末。この間、歴史を揺るがすような大きな出来事も起こり、まだしばらく緊張状態がつづきそうです。
さて、今週末には4月に突入。新年度を迎えます。
毎月ひとつのナクシャトラについての記事を書いていますが、そもそもナクシャトラが何かをあまりご存じない方にもちゃんと伝わってるかな? と少し心配もしておりました。
そこで、新年度を前に、今回の記事をナクシャトラの解説に充てることにいたしました。
ちょっと長くなってますので、一度に読み切れなければ、今後も続く「もうひとつの月の宿」の記事が掲載される度に戻ってきて頂けると嬉しいです。
では、早速はじめていきましょう。

ナクシャトラとは27星座のこと
西洋占星術は太陽の軌道を基準に12星座を読み解きに使います。星座は天空360度を12分割したもので、それぞれの領域にお馴染みの星座名がついています。
インド占星術でも12星座を使いますが、それとは別に、月の軌道を基準にした27の星座=27ナクシャトラを使います。ナクシャトラは天空を27分割したもので、それぞれの領域にサンスクリット語の名前がついています。
西洋占星術の星座は30度ずつで区切られていますが、ナクシャトラは13度20分ずつです。360度÷13度20分=27となります。
牡羊座の0度の地点からスタートして13度20分までの領域を支配するのが「アシュヴィニ」という名のナクシャトラ。
この「アシュヴィニ」から出発して、最後は、魚座の16度40分から30度00分の領域を支配する「レーヴァティ」まで、全部で27のナクシャトラが並んでいます。
ちなみに、ナクシャトラは月の宿とも呼ばれますが、それは、月の軌道を基準にしているから。
月の宿といえば、宿曜を思い浮かべる方も多いかと思いますが、宿曜はインドのナクシャトラが元になっています。
インドから中国に入り、中国の思想を取り入れて変形して、やがて日本に伝えられました。
宿曜は27宿、ナクシャトラも27星座。基本的なところはそのまま残っています。
日のナクシャトラ:ナクシャトラは毎日変わる
ナクシャトラは、月の軌道を基準にしています。
月は天空を約1ヶ月で一周して元の位置に戻ります。正確には、27.3日で地球を一周です。
ですので、毎日同じ時間に同じ位置で月を見ると、少しずつ月の位置が変わっていくのが分かるはずです。
月の周期は約27日、ナクシャトラは27。月はひとつのナクシャトラに約一日の間滞在して、次のナクシャトラに移動します。
その日のナクシャトラとなるのは、日の出の瞬間に月が滞在していたナクシャトラです。
たとえば、これからやってくる4月。
それぞれの日の出の時刻に月が滞在するナクシャトラは次のようになります。
4月1日:ウッタラ・バードラパダ
4月2日:レーヴァティ
4月3日:アシュヴィニ
このように、月は毎日ナクシャトラを移動していきます。
それぞれのナクシャトラには固有の特徴や性質があり、月がそれぞれのナクシャトラを通るたびに、その特徴や性質のスイッチを押して、発動させていきます。
毎日ナクシャトラが変わることでその日のエネルギーが変わるのは、月の移動によるものです。
日本では六曜で大安吉日をチェックしたりする習慣がありますが、同じように、インドではナクシャトラをその日の行動の吉凶判断などに使ったりします。
それぞれのナクシャトラは、
・起業に適している
・旅行など移動に適している
・何かを始めるのに適している
・決断するのに適している
など、様々な行為に関連付けられています。
日のナクシャトラは、その日がどんなことをするのに向いているのか、したほうがいいことしないほうがいいことは何かなどを教えてくれます。
日々の暮らしの中で、活動のヒントを与えてくれるのが日のナクシャトラです。
新月・満月のナクシャトラ:特に力が強くなる
新月には願いを、満月に感謝を、と言われるように、新月と満月には特別なエネルギーがあります。
当然、新月・満月のタイミングで月が滞在していたナクシャトラの性質はより濃くにじみだし、影響も長く大きくなります。
西洋占星術で、新月や満月のエネルギーを、月が滞在している星座で読み解くのと同じように、インド占星術では、月の滞在しているナクシャトラで読み解きます。
新月と満月の読み解きに使うナクシャトラは、それぞれ新月になった瞬間、満月になった瞬間に月が滞在していたナクシャトラになります。
ですので、その日を支配するナクシャトラとは異なることが多いです。
例えば、4月1日 新月の日。
日の出の時刻は5:46(大阪)。この時のナクシャトラはウッタラ・バードラパダなので、この日のエネルギーを司るナクシャトラはウッタラ・バードラパダ。
ところが、新月の時間は15:24(標準時)で、この時のナクシャトラはレーヴァティ。そのため、新月の読み解きはレーヴァティで行います。
新月・満月の瞬間のナクシャトラは、特別なエネルギーを持っているのです。
誕生ナクシャトラ:月は心を表す
毎日変わるナクシャトラを、生活に取り入れて活用する使い方がありますが、それとは別に大切なのが、個人の誕生チャートに現れる誕生ナクシャトラです。
西洋占星術でも月星座が取り上げられることが多くなりました。牡羊座に月があるとか、蠍座に月がある、なんて言い方をします。
月が滞在している星座は、その人のマインド、心を表すので、個人の心のクセなどを読み解くのに使われます。
同じように、インド占星術では、月のナクシャトラをとても大切にしています。
通常、「あなたのナクシャトラ」を指すのは、月のナクシャトラのことになります。
インドでは、あなたの誕生星座は? と聞かれた場合には、西洋占星術の星座ではなく、月のナクシャトラの名前を答えるのが普通だそうです。
インド哲学的な思想の流れをくむインド占星術では、人の心の性質やマインドの在り方などを理解することに重きを置いているため、心を表す月の存在を重要視しています。
月のナクシャトラを知ることは、個人を理解するうえでとても大切なのです。
ナクシャトラの特徴
27ナクシャトラには、様々な要素が含まれていて、それらがナクシャトラの特徴を作り上げています。
ここでは詳しく説明しませんが、主な要素だけ挙げておきますね。
サンスクリット語のナクシャトラの名前が意味すること・支配する神さま・支配する惑星・シンボル(象徴となるもの)・人生の目的・動物・ドーシャ・性質・シャクティ(力)など。
こうした様々な要素が重なりあって各ナクシャトラの特徴が形作られます。

個人のチャートに現れる月のナクシャトラでは、そのナクシャトラに込められた特徴を知ることで、ご自身の心の有り様を紐解くことができ、揺れる心の処方箋を手にすることができます。
日々のナクシャトラでは、特にそのナクシャトラのもつ性質や力の方向性を、行動計画を立てるのに活用したりできます。
月は夜空に浮かぶだけのものではなく、気付かないところで、そのエネルギーを私たちに注いでいます。
月が届けてくれるエネルギーを、暮らしに人生に活かして頂ければと思います。
最後に。
日々のナクシャトラをインスタグラムに投稿しています。ご興味があれば、覗いて頂ければ嬉しいです。
https://linktr.ee/akatsukiayv