もうひとつの月の宿 インド占星術のナクシャトラが伝える月のメッセージ:プシュヤ
こんにちは。月よみ師で®アーユルヴェーダヒーリングコンサルタント Sahra(サーラ)です。
月よみWEBマガジンでは月よみとインド占星術を組み合わせた情報を発信しています。
前回は、
ハスタ( 乙女座10度00分~23度20分)についてお話しました。
前回の記事はこちらから。
今回は、本日7月1日のナクシャトラ、プシュヤについてのお話です。
ナクシャトラについては、こちらで説明しています。
参考になさってくださいね。
https://tsukiyomi-magazine.com/2020/01/18/post-14139/
https://tsukiyomi-magazine.com/2022/03/28/post-24346/
今回ご紹介のナクシャトラ
プシュヤ Pushya
蟹座03度20分~16度40分
支配神:ブリハスパティ神
象徴:花、円、矢、牛の乳房
聖なる師

プシュヤは西洋占星術の蟹座の領域の中にすっぽりと納まるナクシャトラです。
プシュヤという言葉の意味は、「滋養を与える」です。また、魂の成長にとっては最も吉兆なナクシャトラともされています。
ここからは、支配神・支配星・シンボル・性質の4つの視点から、プシュヤを観察してみましょう。
【支配神】
支配神はブリハスパティ。
ブリハスパティは神々の師とも呼ばれ、司祭でもあり、神々のアドバイザーです。
叡智や真実の愛を教える教師であり、献身、祈り、徳の高い行為、平和的な心、純粋性、真理、誠実さ、哲学などを通じて、この世の善なるもののために奉仕する、慈愛に満ちた存在とされています。
ヴェーダの聖典、リグヴェーダ(紀元前1500~紀元前1000年ごろ成立)にも登場します。その中では、最初の偉大な光から生まれ、闇を払った賢者として描かれています。
また、幸運、富、子供を授け、王に正しいアドバイスを与え、学識のあるものに敬意を払うように教える存在として記している古典書もあります。
同時に、ブリハスパティは木星と同一視されています。
シヴァ神がブリハスパティに木星の支配権を与えたとされています。そのため、ブリハスパティのもつ、拡張、広大な広がり、寛容、楽観的、慈愛、チャリティなどの性質はそのまま木星にも反映されています。
ブリハスパティは家庭に幸福をもたらす存在であり、聖なる師として、この世に善を広める存在です。
【支配星】
支配星は土星です。
土星は時間を支配し、責任、義務、忍耐、約束、実用性などをプシュヤにもたらします。
土星は今世のカルマに気付かせ、向き合うように導きます。プシュヤでは、カルマに向き合い、魂の成長へと向かうことが課題として浮かび上がります。
ブリハスパティの持つ木星の拡大へと向かう性質に対して、土星は内に向かうエネルギーで、バランスをとる役割をはたしています。
【シンボル】
花、円、矢、牛の乳房がシンボルになります。
花:花開くという体験の象徴。誰もが望む、それぞれに課せられた運命の象徴であり、それぞれに美しいものであることを表す。
円:完全性の象徴。完全なものを手にいれることを表す。あるいは、今世の人生を表し、終わりも始まりもなく完成していることを示す。
矢:大望とそこへ向かう行動を表す。また、的を射抜くことから目的を達するための行動を示す。
牛の乳房:豊かさと生産性の象徴。また、分け隔てなく、無条件に、無制限に、求められるままに与えることの象徴。
プシュヤに月がある人は、他人に対して親切で、思いやりがあり、チャリティ精神にあふれた人であることが多いとされています。
【性質】
軽くて素早い性質です。
個人のナクシャトラがプシュヤの場合、行動力があり、スポーツ向きのボディタイプの場合が多いです。機会をとらえる、チャンスをものにするということを体験しやすい傾向があります。
日のナクシャトラがプシュヤの日は、結果を早くだしたいようなこと、変化をもたらすこと、柔軟に対応することなどに向いています。
具体的に向いているのは、旅行の開始、スポーツ活動全般、誰かと競うようなこと、ビジネスの開始、新しいことを学び始めること、治療やヒーリングなどです。
50代からの月よみ

先日、本棚を整理していて、沢木耕太郎さんの『世界は「使われなかった人生」であふれてる』という本を見つけました。
エッセイ集ですが、本のタイトルにもなっている章では、「使われなかった人生」についての沢木さんなりの思いが語られています。
50代になると、先のことも気になりながらも、過去の色々な決断・選択に思いをはせることも多いです。
あの時、別の選択をしていたら、今とどう変わっていたのだろうか、と。夜中にふと目を覚まし、ありえたかもしれない人生を夢想することもあります。
インド占星術では、ダシャといって、人生の時期予測のシステムがあります。人生のどの時期にどの惑星の影響があって、どんな人生体験をするのかが記されています。
未来予測と呼ばれますが、私は過去を振り返るのに眺めたりしています。なぜあの時あの選択をしたのかが、どうしても気になったりするものですから。
ダシャを見ながら過去を検証していると、人生は自分の意志だけでは成り立たないことに気付かされます。その時代、その環境、出会い、あらゆる要素が複雑に絡み合っていて、その土台のうえに、少しの自由意志によって、人生が選択されていくのだと。
個人レベルではどうにもできない要素の多さにため息をつきながら、過去の色々な出来事を見直していると、自分でコントロールできないことを、ああだこうだといっても仕方がないので、せめて自分でコントロールできそうなことぐらいはなんとかしようと思えてくるものです。
自分でコントロールできることのひとつは、自分自身のマインドでしょうか。これだってかなり厄介ですが。
自分自身のマインドをコントロールするには、まず、自分を理解することが大切です。それから、月よみ師的アドバイスですが、心に影響を与える月の動きを利用して、月の動向を生活に取り入れてみるのもよいでしょう。
月星座からは各個人の心の性質が読み取れますし、約ひと月で満ち欠けする月のサイクルを生活に取り入れることで、揺らぎやすい心の手綱を締めやすくなります。
これから先も「使われなかった人生」は生まれ続けるのでしょうけれど、今、現在進行形の人生の中で、活用できるものを活用して、コントロールできそうなことぐらいはコントロールしていきたいものです。
※参考文献
こちらの記事は以下の書籍などを参考にしています。
書籍:
LIGHT ON LIFE by Hart de Fouw & Robert Svoboda
THE NAKSHATRAS by Komilla Sutton
27 STARS, 27 GODS by Vic DiCara (Vraja Kishor das)
※アーユルヴェーダやインド占星術についてブログを書いています。また、インド占星術の27星座を用いた個人の月の読み解きも行っています。ご興味があれば、覗いて頂ければ嬉しいです。
https://linktr.ee/akatsukiayv