もうひとつの月の宿 インド占星術のナクシャトラが伝える月のメッセージ:クリッティカの月
こんにちは。月よみ師®でアーユルヴェーダヒーリングコンサルタント、Sahra(サーラ)です。
月よみWEBマガジンでは月よみとインド占星術を組み合わせた情報を発信しています。
前回は、
シャタビシャ (水瓶座6度40分~水瓶座20度00分)についてお話しました。
前回の記事はこちらから。
今回は、明日10月13日の日のナクシャトラ、
クリッティカについてのお話です。
ナクシャトラについては、こちらで説明しています。
参考になさってくださいね。
https://tsukiyomi-magazine.com/2020/01/18/post-14139/
https://tsukiyomi-magazine.com/2022/03/28/post-24346/
今回ご紹介のナクシャトラ
クリッティカ Krittika
牡羊座26度40分~牡牛座10度00分
支配神:火の神アグニ
支配星:太陽
象徴:ナイフ
浄化の炎の月

クリッティカは牡羊座の終わりから牡牛座の始まりの領域にあたります。
これがナクシャトラの面白いところです。クリッティカというナクシャトラの中に、牡羊座的な性質と牡牛座的な性質の両方が含まれることになるからです。
天空の星でいうと、プレアデス星団の中の輝く6つの星にあたります。日本では昔から昴とよばれています。ギリシャ神話にも登場する有名な星団です。
クリッティカについて、支配神・支配星・シンボル・性質の4つの視点から見ていきましょう。
【支配神】
火の神アグニが支配神です。
火は、燃やす作用によって、そのものを変質させます。そのため、アグニ神は、変容・変換を司る神になります。
アグニという言葉は、聖なる火、浄化の火を表すときに使われます。
インドでは様々な祭祀が行われますが、その時には、必ず火を焚く浄化の儀式が行われます。これが日本に渡ったものが、護摩焚きです。炎には浄化の作用があり、また、地上と天とをつなぐメッセンジャー的な役割も果たしています。
アーユルヴェーダを少しかじった方は、アグニという名称を聞いたことがあるかもしれません。アグニは消化力を表す言葉として使われます。体内の代謝のことを指していて、健康維持のために、もっとも大切にするべき要素のひとつです。
自然環境においても、スピリチュアルな世界においても、そして、人間の体内においても、アグニ神の力は偉大です。
アグニ神のエネルギーによって、浄化、変換、伝達などに関する行為が後押しされます。
【支配星】
太陽が支配星です。
太陽は権威、力、生命力、意欲、情熱を表しています。
西洋占星術と違い、ジョーティッシュ(インド占星術)では、太陽は凶惑星として扱われています。
太陽には、生命力や情熱、知性、意志などよい意味もたくさんありますが、一方で、太陽はエゴを表します。エゴは、ある種の執着を引き起こすもの。
すべてのものごとからの解放を人生の最終目標と考えるインド的思想では、エゴは捨てさるべきものになっているので、凶星として扱われるのです。
太陽のもつパワーを上手に活用するためには、自制が大事だということになります。
物事に取り組むためには、意欲や情熱はとても大事なエネルギーですが、一方で、行き過ぎたエゴは、周囲とのトラブルのもとにもなり、自分自身の中に怒りを生み出すもとともなります。
太陽は大きなエネルギー体です。そのエネルギーを、上手く取り入れられると、とても大きな力になります。
【シンボル】
シンボルはナイフ。
ナイフは切り刻むもの。炎と合わせて、クリッティカは料理と関係のあるナクシャトラともいわれています。料理することを表しているクリッティカは、栄養を与えるナクシャトラと解釈されているのです。
また、切り刻むのは、野菜など食べ物だけでなく、知識についても適用されます。
知識を切り刻むとは、知識を小さな塊に分けることですから、つまりは、わかりやすく分解するという意味につながります。
さらに、細かく分けることは、計画することにつながります。
そのため、クリッティカというナクシャトラの性質には、物事を変わりやすく解説すること、物事を計画するなどがあり、誕生時のナクシャトラがクリッティカの人は、理解する力や分かりやすく解説する力、物事を計画する力などの能力が高いとされています。
【性質】
クリッティカの性質は、鋭さと柔らかさの両方をもつ「混」になります。
「混」の日は、日常的なことをこなすのに向くとされています。
家事全般や、事務的なこと、お片付け、雑務といわれるもの全般に向いています。
家事のなかでも、クリッティカですので、料理することはラッキーな行動のひとつになります。
「混」に該当する日は、今回のクリッティカと天秤座と蠍座の境目に当たるヴィシャーカの2つだけ。
ナクシャトラは27個ですので、月に2回「混」の日が巡ってきます。
雑務やお片付けを、月2回巡ってくるクリッティカとヴィシャーカの日の行事に組み込んでみるのもよいと思います。
ちなみに、次の「混」の日は、10月27日ヴィシャーカの日です。
50代からの月よみのススメ

アーユルヴェーダ占星術というのをご存じでしょうか?
アーユルヴェーダもインド占星術も、ともにインドのヴェーダ思想が原典で、ヨガと合わせて、アーユルヴェーダ、インド占星術は3兄弟のような関係です。
アーユルヴェーダでは、人の体質を大きく3つのエネルギーで分類します。
風のエネルギーの強いヴァータ
火のエネルギーの強いピッタ
水のエネルギーの強いカパ
このエネルギーの論理は自然界のエネルギーがベースとなっているので、占星術の中でも使われます。
インド占星術で使われる9つの天体には、この3つのエネルギーのどれかが振り分けられています。
ヴァータの性質をもつのは土星、水星、ラーフ(ドラゴンヘッド)
ピッタの性質をもつのは太陽、火星、ケートゥ(ドラゴンテイル)
カパの性質をもつのは月、木星、金星
ここにあるように、月は、水のエネルギーをもつカパに分類されているので、カパのもつ、冷ます作用、潤す作用を、満たす作用をもっていることになります。
アーユルヴェーダでは、人の年齢によって、強く働くエネルギーが変わると考えています。
子供から青年のころまでが水のエネルギー・カパ
青年から中年期は火のエネルギー・ピッタ
中年期以降は風のエネルギー・ヴァータ
中年期以降というと、大体50代~60代以降に該当すると思います。
このくらいの年代になると、風のエネルギーが体内で強く働くために、乾燥など、ヴァータのもつ性質を強く感じるようになります。年をとることを枯れていくという表現をすることがありますが、それはまさにヴァータの乾燥の影響をよく表しているように思います。
ヴァータのエネルギーは、乾燥だけでなく、過剰になると不安や心配、恐怖心などを生み出す作用があります。
人生の折り返しとなる50代になってくると、理由のない不安を感じるという方も多くなります。いろんな意味で環境が変わることが原因となりがちですが、中には、原因がはっきりしないなんとなく感じる不安を抱えることもあるでしょう。そうした、なんとなく感じる不安はヴァータが過剰になったことが影響しているかもしれません。
アーユルヴェーダの基本理論では、同じ性質のものがその性質を増やし、反対の性質のものがその性質を減らすとされています。ヴァータの乾燥には潤いが必要ですので、水のエネルギー・カパを取り入れることが、バランスを取るひとつの手段になります。
そこで、50代から特におススメするのが、水のエネルギー・カパの性質をもつ月と仲良くなること。
50代を越えてきてヴァータの性質が強くなった年代の人には、カパのエネルギーをもつ月を活用して欲しいと思うのです。
先月の記事では、夏に蓄えた熱を冷ますのに、秋口には月を眺めたりするのがよいとお伝えしました。
50代からは、秋のお月見だけでなく、一年を通して、月と友達になるのがおススメなのです。
夜、月を眺めるだけでもよいですし、水を入れたボトルを月光にさらして作るムーン・ウォーターを飲むのもよいです。あるいは、日々移り変わる月に意識を向けてみるだけでも、随分違うと思います。
静かに昇る月のクールでありながらもヒタヒタと心を潤してくれるやさしい光に、心が癒されることも多いはずです。
※参考文献
こちらの記事は以下の書籍などを参考にしています。
書籍:
LIGHT ON LIFE by Hart de Fouw & Robert Svoboda
THE NAKSHATRAS by Komilla Sutton
27 STARS, 27 GODS by Vic DiCara (Vraja Kishor das)
※アーユルヴェーダやインド占星術についてブログを書いています。ご興味があれば、のぞいてみてくださいね。
https://linktr.ee/akatsukiayv