もうひとつの月の宿 インド占星術のナクシャトラが伝える月のメッセージ:ムーラの月

こんにちは。月よみ師®でアーユルヴェーダヒーリングコンサルタント、Sahra(サーラ)です。

月よみWEBマガジンでは月よみとインド占星術を組み合わせた情報を発信しています。

前回は、
10月25日新月の時のナクシャトラ、スヴァーティ (天秤座6度40分~天秤座20度00分)についてお話しました。
前回の記事はこちらから。

今回は、12月23日の新月の時のナクシャトラ、ムーラについてのお話です。

ナクシャトラとは? については、こちらで説明しています。
参考になさってくださいね。
https://tsukiyomi-magazine.com/2020/01/18/post-14139/
https://tsukiyomi-magazine.com/2022/03/28/post-24346/

今回ご紹介のナクシャトラ
ムーラ Mula
射手座0度00分~射手座13度20分
支配神:死と破壊の女神ニリッティ
支配星:ケートゥ
象徴:束ねられた根、象の突き棒

切り替わりのとき

ムーラは射手座の中にあり、星空で見ると、さそり座の尾の部分を形作る星々に該当します。

サンスクリット語のムーラという言葉は、根、底、基礎、起源、始まり、初期、などと訳され、シンボルにも根が登場します。

ムーラは第一チャクラと対応しています。第一チャクラの別名はムーラダーラチャクラ。私たちの体の一番下、根っこにあるチャクラで、基盤を司っています。

ナクシャトラには、人生の魂の学びのサイクルが備わっています。このムーラでは、物質的な経験の段階が終わり、次の段階、精神的な学びの世界に入ります。切り替わりにあたり、ひとつのターニングポイントになるナクシャトラです。

23日の新月には、新しい世界で根を張るための切り替わりのエネルギーが強く働いています。新月のエネルギーは次の満月まで続きます。丁度新しい年を迎える時期、この新月のエネルギーは新しいスタートへと私たちを導いてくれます。

では、ムーラについて、支配神・支配星・シンボル・性質の4つの視点から見ていきましょう。

【支配神】
死と破壊の神ニリッティが支配神です。

破壊は、新しいものを創るために必要な過程。ニリッティ神の破壊もそうしたとらえ方をされます。

ニリッティ神の破壊には2通りの解釈があります。
・物質的なものを破壊し、精神的な世界へ向かうための土台を創るということ。
・無知を破壊し、悟りの道を開くということ。

どちらの場合も、破壊は終わりを意味するものではなく、新しい世界への道を開くために避けて通れない経験としての意味を持ちます。

こうして表現するととても大きな出来事を経験するかのようにも思えますが、私たちの日常は、ある意味、常にこの破壊と創造の繰り返しで成り立っています。

物質世界のもので壊れないものはありませんし、知識や精神世界も学びを通して常にアップデートされます。

ニリッティ神の破壊は、常に変化を続ける世界で、手にしたものに執着することなく、新しい道を模索すること、新しい世界へ踏み出すことを後押しする役割を担っています。

【支配星】
ムーラの支配星はケートゥです。ケートゥは西洋占星術でいうところのドラゴンテイルにあたります。

ケートゥは手放しの星。欲望の星と呼ばれているラーフと対極に位置します。

手放しの究極の姿は、この世のすべての束縛からの解放、生と死からの解放、すなわち解脱です。ムーラは精神的な学びの始まりのナクシャトラですが、精神的な学びはこの解脱を達成するための最後の仕上げという役割です。

ケートゥは、お坊さんのような星とも言われていて、スピリチュアリティ、哲学的な深い思考、解脱や悟り、神秘的な知識や力、などと結び付けられています。

一方で、手放しと逆を行くようにも思えますが、マニアック、オタクのような性質をもっていて、なんでも深く掘り下げ、探求する力を発揮する星でもあるのです。

ケートゥのもつ、手放しや物質世界から精神世界へと向かうエネルギー、探求する性質は、そのままムーラのもつ特徴を形作ります。

【シンボル】
ムーラの代表的なシンボルは「根っこ」。根が意味するのは、土台を築くこと、物事を掘り下げて探求すること、自分の中心軸を見つめ直すことです。

地下に伸びる根は、見えない所を深く突き進みます。同じように、ムーラは深い探求を示します。

ムーラのエネルギーは、あらゆる物の根っこの部分、知らないこと、見えないことを明らかにしたい欲求を刺激し、それは、時として、自分という存在についての問いを投げかけることにつながります。

「私は誰なのか?」「どこから来て、どこへ向かっているのか?」、そして、「私はここで何をしているのか?」と。

木が大きく育つためには、より深く根を張る必要があるように、人としての成長のためには、一度自分自身を深く掘り下げる必要があることを示しています。

根っこ以外のシンボルでは、象の突き棒というものがあります。日本人の私たちにはなじみのないものですが、文字通り、象の動きをコントロールし、向かう方向を指示するための道具です。

その意味するところは、自分をコントロールし、より高い意識へと導くものとなり、ムーラにはそうした力がそなわっていることを表します。

【性質】
ムーラの性質は、鋭い性質の「鋭」になります。

月がムーラにある日は、強引に物事を進めること、断固とした態度が必要なこと、強気の態度で臨むこと、競争するようなことに向く日になります。

「鋭」の性質のときに向く活動や次のようなことです。
・物事を掘り下げる、知識を集める
・責任を伴うこと、管理すること、支配や権威を行使すること
・造園、庭の手入れ、農作業
・井戸や池を掘る、土を掘り起こす
・基礎を築くようなこと
・厳しい決断が必要なこと

50代からの月よみのススメ

ひと月以上前のお話になりますが、11月初旬の皆既月蝕、皆さまいかがでしたでしょうか?

ヴェーダ思想を背景にもつジョーティッシュ(インド占星術)では、蝕は吉凶でいうところの凶。ネガティブなエネルギーをもつとされていて、屋内で過ごし、蝕の間は月を見ないことが勧められていますが、世紀の天体ショーということで、楽しんで鑑賞された方も多いと思います。

今回の皆既月蝕を境に、気持ちの変化を感じたり、実際に何かしらの変化を経験した方はいらっしゃったでしょうか?

私自身は、皆既月蝕の翌朝に大きなハプニングに見舞われました。起こったことはネガティブなことでしたが、一方で、そのことをきっかけに大きな学びにつながりましたので、結果としては、ネガティブな出来事ではなかったと思っています。

もともと、私のジョーティッシュ(インド占星術)の誕生チャートからみて、皆既月蝕は要注意だとは思っていたので、ある種の心構えができていたのかもしれません。ハプニングを経験したときには、なぜこんなことに? よりも、こんな風に出たんだ!という思いのほうが強かったですね。

このハプニングによって、体のこと、仕事のこと、生活のこと、すべてひっくるめて、いろんなことを見直し、考え直し、リセットするということにつながり、大きな学びの経験となりました。
皆既月蝕と大きなハプニングと切り替え。

私にとっては大きな意味をもつものとなりましたが、誰にとっても同じではなく、ちょっとした気持ちの変化や体験をした人、まったくなんの影響もなかった人など、様々だったと思います。

皆既月蝕に限らず、日々巡る月のエネルギーも同じです。

毎月巡る、新月、上弦の月、満月、そして下弦の月という月のサイクルや、日々移動する月の位置からは、様々なエネルギーが降り注ぎ、ある時はターニングポイントを示し、ある時は強制的にスイッチをいれられるということがあります。

ただ、同じ新月や満月でも、誰もが同じように感じたり、同じような体験をするわけではなく、ひとりひとり、感じ方も経験も違ってくるものだと思っています。

そして、自分にとっての新月の感じ方、満月の感じ方に気付くことで、月が発するエネルギーをよりよく活用できるのではと思います。

ですので、まずは新月や満月の前後、どんな心の変化があるのか、どんなことを体験したのか、そんなことに注目して、メモしてみることからはじめてみるとよいかもしれません。

ご自身の月星座がわかる方は、月星座に月が来た時、また、月星座の中で新月や満月を迎えたとき、どんな風に感じたか、何が起こったのかを記してみると、きっとおもしろい発見があると思います。

今年最後を飾った23日のムーラでの新月は、新しい道へ進むための破壊を象徴するものでした。自由、解放へと向かうための破壊と切り替わりのエネルギーが強調されています。

誰もが破壊や切り替わりを経験したり、後押しされたりするわけではないのかもしれませんが、新しい年の直前の新月がそういったエネルギーを持っていたことには意味があるように思います。

特に、今現在、変化を望んでいる方、切り替わりの最中の方などは、新しい年を迎えるまでの数日間、そのエネルギーを強く意識して過ごしてみることをお勧めします。

最後になりますが、今年一年、お読み頂きありがとうございました。
皆さまにとって、新しい年がより良い年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

※参考文献
こちらの記事は以下の書籍などを参考にしています。
書籍:
LIGHT ON LIFE by Hart de Fouw & Robert Svoboda
THE NAKSHATRAS by Komilla Sutton
27 STARS, 27 GODS by Vic DiCara (Vraja Kishor das)

※アーユルヴェーダやインド占星術についてのブログを書いています。ご興味があれば、のぞいてみてくださいね。

月よみ師のプロフィール

Sahra(サーラ)月よみ師
大阪府在住 アラフィフおひとりさま女子
アーユルヴェーダ・ヒーリングコンサルタント

妹の難病発症や自身の病気の経験から自然療法に興味をもち、
ふとした出会いでアーユルヴェーダセラピストを目指すことに。

宇宙のリズムに合わせて生きることが、心と体の健康につながることを
アーユルヴェーダを通して学ぶうちに、
アーユルヴェーダではもちろんのこと、
女性の体のリズムやインド占星術でも大切な存在である
”月”に心惹かれ、月よみ師に。

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